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欲しいもの


6/29ラブコレクション夏にて配布したペパSS。
2のパーチェルートED1後のパフェリご夫婦でお嬢誕。
夫婦ですから……




 

「フェル、誕生日おめでとう! 今日は、おれたちが夫婦になって、初めての、フェルの誕生日だね。プレゼント何がいい?」
 にこにこと笑顔でパーチェが告げると、フェリチータは、嬉しさを織り交ぜながら頬をほんのりと赤らめる。そして、ぽつり、と呟いた。
「なんでもいいの?」
「もちろん! どーんと言ってよ、どーんと!」
 細い声の後に、嬉々とした大声が続く。パーチェは、自身の胸を叩き、どうぞ!とばかりに軽く反らした。
 と、フェリチータは、そんな彼を見上げつつ。
「あの……」
「ん?」
「………パーチェとの子供が欲しい」
「えっ」
 まったくこれっぽっちも予想していなかった科白に、パーチェは目を見開き、固まったのであった。



     欲しいもの



 ………なんだって、こんな夢見ちゃうかな。
 双眸を開けての第一声は、これだった。とはいえ、胸中でのもので。実際、声にしてはいないのだが。発していれば、間違いなく、落胆の含まれた声色になっていたであろう。
 全部が全部、落ち込むような内容ではない。夢にまで最愛の人物が現われたことは、むしろ、喜ぶべき事柄だ。が、どうぜなら、できればもっと沢山いちゃいちゃと…つまり、続きを見ずに目を覚ましてしまった己を叱咤せずにはいられなかった。
 ともあれ、彼女は、今、己の隣で寝ているのだから、夢ではなく、いっそ現実で続きをすればいいのかもしれない。
 怒られる、かなぁ。
 別に、怒られてもいいんだけど………。
 このまま寝顔も見ていたいし。
 鬩ぎ合う気持ちを抱きながら、隣ですやすやと眠る妻・フェリチータを見つめた。
 夢と同じく、今日は、夫婦になって初めての、フェリチータの誕生日である。昨夜、詳しくいうならば、今日になってすぐ、おめでとうの言葉と共に、キスをした。
 それから、夫婦なんだし新婚なんだしだとか、要するに色々と言って、どっちがプレゼントをもらっているのか分からないようなカタチとなり、朝となっての今である。
 結局、欲しいものは聞き出せていない。言えない状況を作ってしまった、が正しいのであるが。
 どうしようかなぁ~。
 ふと胸中で零しつつ、パーチェは、眠り続けているフェリチータの頭を撫でた。すると、小さく身動ぎをし、胸元に顔を寄せてきたのである。
 口角を持ち上げたパーチェは、優しく抱き締め、更に頭を撫でた。指先を擦り抜ける細く長い赤色から、甘い香りが漂ってくる。それを胸一杯に吸い込み、心までもを満たしてから、頭に唇を落とした。
 と、ここで、微かな声が耳に届く。フェリチータが、漸く、目を覚ましたらしい。
「パーチェ?」
「おはよう、フェル」
「ぅん…おはよう………」
 微睡んでいるフェリチータの瞼に口接けたパーチェ。柔らかに微笑んでから、耳許にて囁きを一つ。
「誕生日、おめでとう」
「ありがとう」
 本日、数度目となる言葉。けれど、何度告げられても、嬉しさが込み上げてくる言葉でもある。
 フェリチータはそっと口許を緩め、愛しいぬくもりを伝える身体に頬を寄せた。温かく、心地の良い熱。頬を赤く染めるそれに目を閉じ、笑みを浮べる。
と、上から声が降ってきた。
「ねえ、フェル。プレゼントなんだけど」
 顔を動かし、視界にパーチェを映したフェリチータ。
 隔てるものの無いハシバミ色が、カーテンの隙間から射し込む朝陽により、きらきらと輝いて見え、相槌のように唇の両端を持ち上げる。
「今日の夜の、誕生日パーティまでに教えてね」
 きっちりと準備しちゃうよぉ、と付け加えたパーチェ。
 そういえば、まだ決めていなかった。
 正確には、決められなかったんだけど。
 フェリチータは、じっとパーチェを見つめた。
 こうして一緒に居られるだけ充分なのだが。きっと、彼は、何か形になるもので、欲しいものはないか、と問い掛けたのだろう。
 記憶に留めるだけでなく、残るもの。目にすることで、記憶も蘇る、思い出の品。パーチェの気持ちも分かるものの、改めて問われると、難しい部類になる質問だった。
 何か、一つくらいは…浮かぶかな。
 これといって、今すぐ欲しいものがあるわけではない。それでも、パーチェからの贈り物ならば、特別な意味が付加され、大切なものにもなる。
「分かった」
 双眸を弓なりに細めたフェリチータに、パーチェは、また口接けを落とした。今度は、曲線を描いた唇へ。啄むような優しいキスは、小さな音を一つ刻んだ。




「フェル、決った?」
 陽が傾き、夕暮れ間近となった頃。パーチェは、フェリチータに訊ねた。もうすぐ、パーティの時刻。プレゼントを用意するには、ぎりぎりの頃合い。
 フェリチータは、目の前に立つ彼を見やり、視線を下へと滑らせる。
「えっと………あの、ね」
 頬が、赤く色付いたのは、太陽の所為ではない。
 ちょっとした気恥ずかしさによるもので。
「もう貰ったから。プレゼント」
「へ? おれ、まだ何も渡してないよ?」
 だから、こうして訊いていたのに。パーチェは、双眸を瞬かせ、フェリチータをまじまじと見つめた。
 と、ちらり、とパーチェを瞳の端に捕えたフェリチータは、頬の赤色を増させた後、彼の手を取り、己の下腹部に押し当てる。そして、消え入りそうな声を落とした。
 ここに、あるから……
「あっ! えぇっ!」
 あの夢は、もしかして、このことを?
 パーチェは、満面の笑みを浮べると、諸手を上げて大喜び。
「やったぁーっ!」
「ぱ、パーチェっ」
 勢いそのままに、フェリチータを抱き上げ、くるりと一回転。驚嘆する顔へ唇を寄せると、頬に口接けを贈ったパーチェ。
「フェル、ありがとうっ!」
 溢れる笑顔に、フェリチータも笑顔で返す。
「私の科白」
「そう? おれも、ありがとう、だよ! だって、おれとフェルの子供、でしょ?」
「そうだね」
 ふふっ、と口角を持ち上げたフェリチータは、パーチェの頬へ唇を押し当てた。
「ありがとう、パーチェ」

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 2014_09_19




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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アルカナ・ファミリア&三国恋戦記
がっつりネタバレ 
パフェリ、孔花・師弟愛、仲花+孔、
テイルズ、stskなど雑多に書き散らしちう
8/2 オフライン更新
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