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夏祭り


夏コミ&コミックシティ関西にて配布したペーパー掲載SS。
パーチェ誕生日イラストとしてツイッターにUPされていた、
さらち先生の浴衣パーチェを見て、かっとなって出来上がったもの。
 

「すっかり遅くなっちゃった……」
 足下に違和感を覚えながらも、フェリチータは、急ぎ足を止めはしなかった。からんころん、と軽快な音を奏でているものは、確か、下駄という名前だった。着付けをしてくれたマンマが、そう教えてくれたのである。
「パーチェ、どこだろう?」
 右へ左へと視線を幾度も動かしてはみるも、探し人の姿は見当たらない。
 やっぱり、待っていてもらった方が良かったのかも。
 先へ行っているように言ったのは、他でもない自分で。頑なに待つ、と宣言するパーチェの腹の虫が、待てない、と盛大に鳴った所為もあった。
 その時のパーチェの顔を思い出し、フェリチータは、ふふっと小さく笑う。照れ臭そうに頬を赤くして、ほんっっとに空気がよめないおれの腹でごめんねえ~お嬢ぅ、と誤魔化しの笑みを浮べていた。
「あっ! 居たっ」
 思わず、声を上げる。見知った後ろ姿に、フェリチータの足が速まったのであった。


   夏祭り



 夏祭りを行なおう。そう言ったのは、パーパだった。
 また、思いつきで何やらオカシナ事を。最初、ファミリーの面々は、半ば呆れたたり冷ややかだったり。けれども、それは、ジャッポネが故郷であるマンマを想っての提案だったのである。
 真相が分かり、ジャッポネ式催し【祭り】について、皆興味を持ったのか。街をも巻き込んだ一大イベントへ変貌を遂げた。
 こうして、見慣れた町並みは、提灯明りに屋台の並ぶジャッポネの通りのようなものへと姿を変え、陽気な音楽も太鼓と笛が奏でる夜に。華やかに着飾った人々の服は、浴衣ばかりときている。
 フェリチータも浴衣に身を包み、ヴィバーチェ広場の噴水前を駆けていた。
「パーチェっ」
 呼び声に振り返ったパーチェの口から零れたのは、少しだけ不可思議な響きで。
「ふぁに?」
 口一杯に、色々な食べ物を頬張り、尚かつ、両手にも何やら沢山持っているではないか。僅かに驚きつつ、フェリチータは、双眸をすぃと細めさせる。
「……パーチェ」
「おっ嬢~! かっわいぃーっ! 浴衣、すっごく似合うね」
 ごくり、と口の中のものを飲み下したパーチェは、ぱぁっと表情を輝かせ、満面の笑顔となった。そして、柔らかに目許を下げ。
「綺麗だよ」
 一転、優しい声色で、そっと告げたのである。その変わりように、頬を赤らめたフェリチータは、照れ混じり。
「あ、ありがとう……」
 小さな声で返すと、口角を持ち上げた。と同時に向けた視線が、パーチェの口許で止まる。
「パーチェ、ここ。ついてる」
 踵を持ち上げ、背伸びをしたフェリチータは、延ばした人差し指で、それを拭い取った。
さっき、パーチェが食べていたものだろうか。そう思った矢先。
「ありがと、お嬢」
 礼を言うや、こともあろうか、フェリチータの手首を掴んだパーチェは、彼女の指先をぱくりと口に含んだではないか。
 全く予想していなかった事態に、一気に耳までを赤々と染め上げたフェリチータは、あわあわと唇を震わせ、素っ頓狂な声を発したのだった。
「ぱ、パーチェっ」
 勢い良く自身の指を引き抜くと、咄嗟に身構える。
 見慣れた蹴りの態勢に、パーチェは、目を丸くすると慌てふためき。
「うわっ! そ、その格好では、止めた方がっ!」
 浴衣が破れちゃうよぉ~、と付け加え、必死の形相となりフェリチータへ、落ち着いてだの、おれが悪かっただのと叫んだ。
 確かに、このまま蹴りを放ったのでは浴衣は見事に破れてしまうし、かといって、裾を捲り上げてまでというのも、と思い直したフェリチータは、不本意、という言葉を顔に貼り付け、不満顔。
 唇をついと尖らせているのを見、パーチェは、手にしていたものを渡す。
「お詫びに、はい! りんごあめ」
 小さな赤いりんごが、透明な何かに包まれている。
 これは、はちみつ? パーチェが、りんごあめっていってたから、あめ…なのかな。カラメリアとは、ちょっと違うけど。
 などと思い、じっと見つめていると。
「お嬢と同じ色で、美味しそうでしょ?」
 美味しそうだけど。私と同じ色……で?
 どういう意味だろうか、と訝しげな表情となりそうだったフェリチータの空いた手を取り、パーチェは、通りに並ぶ店を指差し。
「他に、何か食べたいものとかある?」
 物で誤魔化す気だろうか。それが、食べ物というのがパーチェらしい、といえば、らしいのだけれど。
 パーチェを見上げたフェリチータは、一言。
「………金魚すくいがしたい」
「えっ! た、食べたいものは?」
「金魚」
 まだ食べ足りなかったのだろうか。パーチェは、金魚すくいがいい、というフェリチータに、食べ物の並ぶ店と彼女とを交互に見てから、フェリチータの顔で視線を止めると。
「金魚すくいね! 分かった! 行こう、お嬢」
 言って、笑顔で手を引き、歩き出す。
 パーチェにつられ、フェリチータも笑顔となり、繋いだ手の指と指が絡まるのに、そう時間は掛からなかった。

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 2013_09_20




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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アルカナ・ファミリア&三国恋戦記
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