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6/16ラヴコレ夏にて配布したペーパーSS。
お嬢誕生日ネタパフェリ。ほのぼのラヴ。




 

 一 緒

 今日は、フェリチータの誕生日。盛大なパーティーが終わりを告げ、今は、部屋への帰路の途中である。
 フェリチータの隣を歩くのは、恋人のパーチェ。
 部屋までのエスコートですからね、と厳しい口調で釘を刺すルカに、パーチェが、軽く何度も返事をしていたのは、少し前のこと。そして、ちょっとだけ部屋で話とかしちゃってもいい?と尋ねられ、フェリチータが頷いたのが、つい先程の出来事だった。
「お嬢が十七歳かぁ」
 しみじみとしたような声色で呟くパーチェを見上げつつ、フェリチータは、確認を込め告げる。
「パーチェの誕生日は、七月二十九日だよね?」
「そうそう。お嬢、憶えてくれてたんだぁ~っ。おれ、嬉しいっ」
 こくこくと首を縦に振ったパーチェは、満面の笑みとなった。よほど嬉しかったのか、廊下を歩く足が、いつの間にかスキップを踏んでいる。
 そんなに喜ぶことかな、と思いながらも、パーチェの笑顔に、フェリチータも口角を持ち上げた。
 こうして、いつも、パーチェにつられて笑う自分がいる。傍に居ると、心があたたかくなって。優しい空気に包まれているような感覚となる。その度に、自分はパーチェが好きなのだと実感していた。
 と、フェリチータは、パーチェの表情に目を止める。微かに眉根を寄せ、何やら考え込んでいるように見えたからだ。
「どうかしたの? パーチェ」
「ん? ああ」
 フェリチータからの問い掛けに、パーチェは、彼女へ視線を向けると。
「んーとね。あと一ヶ月とちょっと経ったら、またお嬢と歳が離れちゃうなぁって思ってさ」
「えっ?」
 それがどうしたのだろうか、と双眸を瞬かせるフェリチータに、説明を始めたパーチェ。
「ほらぁ~。お嬢の方が誕生日先でしょ? だから、お嬢の誕生日で、一つだけ差が縮まるじゃない? んで、おれの誕生日で、元に戻る。ほんの少しだけど、いつもより近いから嬉しいなぁって思って、戻るのを寂しいなぁって思ったんだ」
 年齢のこと、だろうか?
 近付くのが嬉しくて、離れるのが寂しい………。
 そう思っていると、フェリチータの瞳と同じ高さに、己のそれを合わせるように態勢を落としたパーチェが、唇の両端をそっと持ち上げ、続ける。
「色々いっぱい違うとこばかりでしょ? 年齢に誕生日、身長とか目線とか手の大きさとか」
 それぞれの頭の高さを示したり、互いの目を指差したりした後、フェリチータの右手を取ったパーチェは、獅子のスティグマータがある右手と重ね合わせた。
 手の平の大きさはもちろん、指の長さも違う。伝わる冷たさは、指輪からのものだ。反する肌の熱に、少しだけ鼓動が早まったのを自覚するフェリチータ。刹那、パーチェが手の位置をずらし、きゅっと手を握り締めたではないか。
 途端に、どくん、とフェリチータの心臓が大きな音を刻む。赤味を増させ、段々と上気していく頬。自身の中で、やたらと激しく木霊する音に、下唇をきゅっと噛み締めた。
 パーチェは、握り締めたフェリチータの手へ、自身の額を押し当てると、静かに双眸を閉じる。
「どこか一つでも、同じだったり一緒だったりするものがあったらいいのに……」
 違うところばかりだろうか? 本当に、一つもないの?
 同じもの……一緒………
 フェリチータは、握り締められている右手に、左手を乗せた。そして、上から、僅かに力を込める。
「どしたの? お嬢」
 パーチェは顔を上げ、まじまじとフェリチータを見つめた。
 互いの瞳に映るのは、それぞれの顔だけ。揺れているのは、廊下を照らす明りの所為だろうか。
「一緒のものなら……ある」
 赤い頬に気恥ずかしさを感じながらも、フェリチータは照れを飲み下し、言葉をつむいだ。とん、とデコルテのスティグマータに、握り締める、己とパーチェの手を押し当て。
「………ここに」
 他にいくら異なるものがあっても。抱く想いは、同じ。ここにある想いは一緒だ、と。
「そっか。そうだね。それは、一緒だ」
 ずっと変わらない。これから先も。
 ふっ、と口許をほころばせたパーチェは、双眸を弓なりに細める。込み上げてくる嬉しさに、柔らかな微笑みを浮べた。
「ってことは、おれがお嬢大好きーっ思ってるくらいに、お嬢もおれのこと大好きーってことでいいんだよね?」
「……っ!」
 予想していなかった科白に、フェリチータは、息を呑む。
 想いが一緒だと言いはしたが、まさか、そう返されるとは。
 フェリチータが慌てふためいている最中、パーチェは、自身の顔を近付け。
「ね? そうでしょ? フェリチータ」
 言って、左手で、頬に振れる。すべらかな曲線をゆるりと撫でてから、親指の腹で唇の膨らみを辿った。
 互いの視線が絡み合う。
 それは、短かったのか。それとも、長かったのか。
 フェリチータが、視界いっぱいに広がったパーチェの顔に目を丸くした瞬間、二つの唇が重なったのだった。

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 2013_06_18




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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アルカナ・ファミリア&三国恋戦記
がっつりネタバレ 
パフェリ、孔花・師弟愛、仲花+孔、
テイルズ、stskなど雑多に書き散らしちう
8/2 オフライン更新
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