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想いの質量保存



1人バレンティーノ祭。
アルカナ・ファミリアでアシュフェリ。
目の前に置かれた贈り物に、アッシュは怪訝な表情。
その訳は?



 

 想いの質量保存


「なんだ、これは」
 目の前に、山と積まれているのは、りんご。つやつやとした色は食欲をそそるもので、更に甘い香りが鼻腔を擽ってくることから、ドルチェ用のものだと容易に判断出来た。
 が、問題は、そこではない。なぜ、これが、ここにあるのか。
 腕組みをしたアッシュは、問いを投げた相手――フェリチータを見やる。
「りんごだけど」
 あっさりと、返された答えに、半眼の眼差しとなり。
「それは、見れば分かる。俺が訊いているのは、理由だ」
 今、二人が在るのは、アッシュが住居としている船。つまり、一騒動を巻き起こした幽霊船。少し前までは、奇怪なものをみるようにしていた島民も、すっかり警戒心を無くし、観光の一部であるように島外の者に紹介していたりするが。主のアッシュにしてみれば、それはそれで奇妙な気分であった。
 ともあれ、今は、船の話ではない。山積みのりんごについての方が重要な事柄だ。
 りんごの横に立つフェリチータは、先と何ら変わりない口調にて。
「バレンティーノの贈り物よ」
「これがか?」
「そうよ」
 まんまかよ……。
 げんなりとし、りんごをじっと見詰めた。
 確かに、りんごは好きだが。それをバレンティーノの贈り物にする思考回路が、正直、分からない。不思議なものでも見るような視線をフェリチータへと這わせるアッシュ。
「なかなか手に入らない、珍しいりんごなんだって。試食したら、すっごく美味しかったの。それで、これにしようって」
 嬉々として説明するフェリチータは、無言となってしまったアッシュに、首を傾げる。
「気に入らなかった?」
「いや。お前らしいなぁ、と感心していたところだ。ありがとな」
 やれやれ、と軽く肩を落し、短い息を吐き出したアッシュ。その態度を前とし、フェリチータは、眉根をじわりと寄せた。
「……いまいち、素直に喜べない」
 告げられた礼の言葉も、まるで取って付けたように聞える。思わず、ついと唇を尖らせれば、宥めるように頭を数度叩かれた。
「んな顔すんなよ。ほら」
「なに、これ」
 投げるように渡されたのは、小さな箱。ラッピングのされていない、ただの箱だった。
 フェリチータが双眸を瞬かせていると。
「俺からだ」
「えっ! アッシュから?」
「なんだよ、その顔は」
 酷く驚いているフェリチータに、アッシュは、うめくような声を零す。自身が想像していた表情と異なっていたのか。目の当りとした反応に、眉間へ皺を刻み込む。
 ごめん、と謝罪をしたフェリチータは。
「だって……くれるとは、思ってなかったから」
 それから、一転、笑顔となった。
「ありがとう、アッシュ」
「等価交換だ」
 りんごを指し示し、貰った物に対する代価だと告げる。
 よくアッシュの口にする等価交換。同等であるという贈り物。となれば、中身は一体何なのだろう。まさか、この箱に、苺が入っている訳はないだろうけれど。
「開けて見てもいい?」
 問いへ、頷きで返す。
 いそいそとフェリチータが小箱を開けると、中には、フクロウを模したブローチが入っていた。きらきらと輝く小さな石は、名だたる宝石とまではいかないが、可愛らしい輝きを放っている。
「うわぁ、可愛い」
 付けるのが勿体ないくらいだ、と思っていると。
「いい出来だろ。ここのとことか、結構、難しかったんだぜ」
 耳にした言葉に、フェリチータは、ブローチからアッシュへと視線を向けた。
 難しかった、ということは、これは既製品ではなく手作りだ。
 双眸を丸くしたフェリチータへ、アッシュは、困惑し。
「どうした?」
 と、ぽつりと呟きが一つ。
「等価交換じゃない」
「あぁ?」
「等価交換にならないよ」
 あのりんごと、このブローチでは。
 フェリチータは、真剣な面持ちでアッシュに詰め寄る。
「アッシュ。何かお願い事言って! でないと、私の気が済まない」
「んなこと、いきなり言われてもなぁ」
 妙なところで生真面目だ、と思いながらも、一度言い出したらきかない性格である事も、短い付き合いながら承知していた。
 となれば、さっさと何かを告げなければ、この話は終わらない。
「あー、じゃあ、あれで何か作ってくれよ」
 指をさしたのは、山積みのりんご。
 つられ、りんごを見たフェリチータは、アッシュへと向き直り。
「それでいいの?」
 ああ、と前置いてから。
「言っておくが、あれ、全部だからな」
「うんっ!」
 それから暫くの間、りんご料理を持ってアッシュの船に通うこととなったフェリチータ。
 アルカナ・ファミリアのフェリチータ嬢が通い妻となった、と噂になるのは、更に後の話である。

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 2013_02_17




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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アルカナ・ファミリア&三国恋戦記
がっつりネタバレ 
パフェリ、孔花・師弟愛、仲花+孔、
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