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可愛さの臨界点


10/7スパーク&10/8ラヴコレクション秋にて配布したペーパー掲載小話。
新刊「お嬢の可愛さにパーチェが身悶える話」と、
そこはかとなくリンクしたものとなっています。
パフェリで、らぶらぶコメコメ。



 

「はぁ? パーチェの好みだぁ?」
 眉間に皺を刻み込み、デビトは、素っ頓狂な声を上げる。
 その差し向かいに立っていたフェリチータが、こくりと頷けば、さも面倒臭いという形相へとなるや。
「んなもん、本人に聞けよ」
 と、吐き出した。巻き込まれるのは御免だ、と言わんばかりに。
 しかし、フェリチータも食い下がらない。渦巻く心情を告げる。
「だって……どんな服を着ても、可愛いっていうんだもの」
 常々、付き纏っている悩みの種は、どんな己に対しても可愛いだの綺麗だのと言う、恋人・パーチェの態度。
 厭ではない。嬉しくは、あるのだけれど。こうも思う。好みの服装でめかし込み、思いっきり驚かせてみたい、と。
 他の誰にも頼れない、と項垂れているフェリチータを見、どうにも断れなくなってしまったデビト。やれやれ、と首を竦め、天井を見上げた。そんな最中、ダンテが姿を現す。
「デビト、ちょっといいか?」
 金貨の部屋には、デビトだけだと思っていたのだろう。先客であるフェリチータに、扉をそのまま閉めようとする。
「すまない。また、後で」
「待てよ、ダンテ」
 ダンテを呼び止めたデビトは、とある算段を巡らせた。
 己一人では面倒な事この上ないなら、取る行動を半減させればいいだけのこと。しかも、パーチェに有無を言わさず動かせる存在ともなれば、正に、お誂え向き。願ったり叶ったりだ。
「なあ、バンビーナ。要は、パーチェを驚かせればいいんだろぉ?」
「えっ! ぅ……うん」
 そうなるのかな、と付け加えたフェリチータへ、にやりと笑みを浮かべるデビト。こうして、作戦は、決行されたのであった。



   可愛さの臨界点



「つまり、彼女の魅力を引き出せばいいのね」
「ああ。とびっきりにな」
 フェデリカの言葉に、デビトが頷く。その隣で、少し困惑気味となるフェリチータ。
「本当に、これでいいの?」
 ただ、服を着替えるだけ? 好みに合わせるのではなく?
 いまいち、納得出来ていない彼女を見やり。
「もちろんだ」
 言って、唇の両端を持ち上げるデビト。
「そう難しく考える事はねえ。男ってのは簡単なもんなんだぜ、案外な」
 一方、其の頃。通りを歩く二人の男が在った。一人は、幹部長であるダンテ。もう一人は、幹部長代理のパーチェである。
「何処行くのさ、ダンテ」
「いいから、着いて来い」
 理由の説明無しなの?と首を傾げるパーチェの、少し先を歩くダンテ。その胸中は、複雑なもので。なぜこんな事に、と思う反面、フェリチータの懇願する姿に否と言える筈も無く。
 どうにも、お嬢さんには弱いな、などと苦笑を零させた。
「フェデリカドレス? なんで?」
 辿り着いた店の看板を読み、パーチェが、眉根を寄せる。己を連れて来た相手がダンテなのだから、無理も無い。不 釣合いな上に、不似合いだとでも思ったのだろう。
 そんな彼を余所に、ダンテは、店の扉を開けたのだった。
「おぉー、いいタイミングだなぁ~。こっちは、準備出来てるぜ」
 二人の姿を見るや、デビトが、声を上げる。
 楽しげな口調の彼を双眸に映すや、どういうことなのか、と首を傾げるパーチェ。
「デビト? と、………お嬢?」
 ふと、奥に立つ人物に気づき、表情が一変した。双眸を見開き、動きを止める。その後ろで、扉が、余韻と反動により、ゆっくりと閉まった。その音が消えるか消えないかという頃合で、フェリチータが、一歩前に出る。恥ずかしそうに、そっとはにかんだフェリチータの服装は、いつものスーツ姿ではなかった。
 淡いピンクに白いレースのあしらわれた可愛らしいワンピース姿。長い髪は結われておらず、代わりにあるのは、同じ色味のカチューシャに、レースのリボンが揺れている。
 すっかり変貌を遂げた彼女の姿に、ダンテが、ほぅと感嘆の息を一つ。
「パーチェ。あの、似合う……かな?」
「っ! 待ってっ!」
 もう一歩前へとフェリチータが歩こうとする前に、パーチェが、声と手で制止させた。
「それ以上、近付かないでっ」
 続けられた言葉に、愕然とするフェリチータ。広げた手の平を前に突き出し、顔を背けている彼に瞳を丸くする。
「………えっ」
 呟きには、悲しみの色が含まれていた。
 ショックを受けているフェリチータを見、ダンテは、パーチェへと声を荒げる。
「おい、パーチェ。お嬢さんが、どういう思いで」
「待てよ、ダンテ。あれは、もしかすると」
 どうにも様子が可笑しいパーチェの内心を察したデビトは、ダンテにその内容を耳打ちした。
 まさか、という形相となったダンテが、改めてパーチェの態度を一瞥し、確信する。これは、間違いなく、デビトの言うとおりだ、と。
 しかしながら、フェリチータは、其の事に気づいていない。
「パーチェ、酷いっ! 私……っ」
「落ち着け、バンビーナ。今の、コイツの心覗いて見ろよ」
「え?」
 デビトに言われ、今にも泣き出しそうだったフェリチータは、双眸を瞬かせる。
 何か、あるのだろうか?
 顔を背けたまま微動だにしないパーチェの心を覗くべく、能力を使ってみると。
 ラ・ザーニア、ラ・ザーニア、ラ・ザーニア、とにかく、ラ・ザーニア、ラ、ラ、ラララララ・ザーニアっ!
 見事なまでのら羅列っぷりに、半眼の眼差しにて。
「ラザニアのことしかないんだけど」
 どういうこと?と低い声色にて告げたフェリチータ。
 呆れたデビトは、苦笑混じりに。
「ったく、しょうがねえなぁ~。手伝ってくれ、ダンテ」
「ああ、分かった」
 ダンテは、目を閉じていたパーチェの背後に回ると、両腕を挟み掴むと、拘束する。
「ちょっと、何っ!」
 事態に気づいたパーチェが、背後のダンテを見やれる。すると、すかさずデビトが、彼の顔両側を手で挟み込み、前へと無理やり向かせたのだった。
「テメーの為にめかし込んだんだ。しっかりと見ろっ!」
「っ!」
 声と動きの反動により、パーチェは、フェリチータの姿を至近距離から直視した。途端に、顔が、一気に真っ赤に染まる。
 茹蛸のようになるや、ラザニアだらけだった心も一変。
 可愛い、可愛過ぎる、どうしよう可愛い、あーもー可愛いよう、と照れ混じりの大絶賛。
 つられ、フェリチータの頬が、ほんのりと赤色に。
 二人の様子に、デビトと顔を見合わせたダンテが、両手の拘束を解けば、へたり、と床に座り込んでしまったパーチェ。どうやら、照れにより力が抜けたのだろう。
 そんな彼の前に屈んだフェリチータは、其の手を取ると。
「パーチェ、デートしよう」
 外へ、連れ出そうとした。
 が、がばりと真っ赤な顔を彼女に向けたパーチェが、大声を発する。
「だめっ!」
 握る手に力を込め。
「そんなに可愛い格好で、外に出ないで。他のヤツには、見せたくない、から……」
 段々と消えてしまった声ではあるが、その言葉を聞いたフェリチータの頬に、赤味が重ねられた。
「それなら、二階の個室でお話でもするといいわ」
 フェデリカが示したのは、二階にある一室。
 視線を這わせたフェリチータは、パーチェに向き直ると、彼の両手を持ち立たせながら。
「ほら、パーチェ」
 行こう、と優しい口調で促す。
 言われるまま、ゆっくりとした足取りで、手を引かれ歩くパーチェの背を見、ダンテは、眉根を寄せる。
「大丈夫…か?」
 何が、とは敢えて言わずに。
 すると、デビトが、ひらひらと手を横に振り。
「パーチェの許容範囲を超えてる。何も出来やしねえよ」
 言って、からからと笑った。
 牙を抜かれた狂犬は、ただの仔犬も同然だ。
「流石、いい腕してるぜ」
「お褒めにあずかり、光栄だわ」
 唇の両端を持ち上げたデビトへ、フェデリカは、笑顔で返したのであった。

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 2012_10_25




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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テイルズ、stskなど雑多に書き散らしちう
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