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桜霞に君香

Category: 他ゲーム  


すたすか春
ED後の哉月。春・桜の咲く頃。



 

 ひとつ、また、ひとつと。ひらひら踊る花びらの中、一人の少女が駆けていた。
 温かな午後の日差しは、春の匂い纏い、咲き誇る桜を撫でてゆく。それらが遊ぶ陽だまりに、少女の探し人は居た。
 桜の樹の下。無造作に寝転ぶ身体の其処彼処に、薄紅が散っている。そして、上下する胸元に時折揺れ、微かな風に零れた。
 すっかりと寝入っている姿に、ふと思う。綺麗だ、と。
 なぜか、すんなりとそういう気持ちに至った。
 男相手に綺麗だとか言うな、と本人が起きていて、しかも、聞かれていたら言われたに違いない。
 でも、やっぱり……綺麗。
 ふっと口許を綻ばせた少女――月子は、彼――哉太の傍らに腰を下ろしたのであった。

   桜霞に君香

 新学期早々、姿が見えないと思ったら。こんなところで寝てるし。
 月子は、短い息を吐き出す。
「ほんっと、相変わらずだね。哉太くんは」
 ちょん、と頬を押す。人差し指で。
 何時もは口になどしない呼び方は、自分が発したというのに、別の誰かが呟いたもののように耳に届いた。
 別の……誰か。それは、いや、だなぁ。やっぱり。
 ずっと一緒に居たい人。隣に居て欲しい人。
 でも、彼は、夢に生きる人だ。夢を追っている姿が好きで、無邪気に話す顔が好きで、それが一番彼らしくて。だから、大好きになった。
 恋人同士にはなったのだけれど。こうして過ごせる時間は、あと数ヶ月ばかりだ。
 遠く離れていても、この想いを繋いでいける自信はある。それでも、一人の寂しさは別の部分から沸き起こってくるだろう。
 それらを引っ繰り返すほどの気持ちをくれるのも知っているから、不安は少ない。
 無い、とは言えないけれど。
「哉太。ずっと……ずっと大好きでいるから。哉太も、私のこと、好きでいてね」
 言葉終わりに口接けをひとつ。さっき、己の指が触れた場所へ。そっと、祈りを込めて。
 頬を薄紅に染めた月子は、唇に曲線を描かせた後、其の場を後にしたのだった。


 足音が遠のき、花霞で姿が見えなくなった頃。
 哉太は、静かに双眸を開ける。何処か焦点があっていないのは、寝起きの所為ではない。
 月子の気配を感じ、声を聞いて、起きようかどうしようか迷いつつ、そっと開けた瞳に飛び込んで来たのは、己の頬に唇を寄せている彼女の姿であった。
 その後は、高鳴る心臓を沈めるのが精一杯で。気付かれないようにすることばかり考えていた。
 まだ余韻感じる頬に手を当て、哉太は、そっと口を動かす。
「当たり前だろ、そんなの。ずっと好きに決まってる」
 面と向って言えなかった科白は、春風に消えた。彼女の心に届けるのは、もう少し先とばかりに。

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 2012_08_16




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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アルカナ・ファミリア&三国恋戦記
がっつりネタバレ 
パフェリ、孔花・師弟愛、仲花+孔、
テイルズ、stskなど雑多に書き散らしちう
8/2 オフライン更新
TOASS不定期連載中
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