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おねだり・中篇



 7/29 パーチェ誕生日おめでとう!SS 中篇
 指令後の、屋敷までの帰り道。
 パーチェと、アッシュと、棍棒の面々と、街の皆さん。




 

「おわったぁ~」
 呟きと同時に、どっと押し寄せたのは空腹と疲れ。長々と息を吐き出したパーチェは、大袈裟に両肩を落す。
 そのまま、前のめりに倒れ込んでしまいそうな彼を一瞥し、アッシュが告げる。
「指令が終わったってのに、浮かない顔だな」
 頭の後ろに両腕を組み、視線を投げた。
 ふっと、乾いた笑みを浮かべたパーチェは、アッシュの方は見ずに。
「そりゃ、そうだよ。本当だったら、今頃……」
 脳裏に描いたのは、フェリチータと一緒に仲睦まじく過ごしている己の姿。
 特大のラザニアを食べさせてもらったりとか、食べさせたりとか。ケーキを一緒に食べたりとか。手を繋いでデートとか。それから、それから。
 渦巻く想像を振り払い、ふと、後方のアッシュに問いを一つ。
「そういえば、どして、アッシュが同行してるんだっけ?」
 己が、ダンテの代わりに交渉というのは指令に記されていた。
 てっきり、一人きりでと思っていたところ、出掛けに、彼が着いて来たのである。
「別に。幹部長代理の仕事ってのが気になっただけだ」
「それだけ?」
「ああ。それだけだ」
 それ以上深入りはせず、パーチェは、そっかとだけ返すと、今度は短い息を吐き出す。
 どうにも落ち込んでいる大きな背中を見やり、胸中で独りごちるアッシュ。
 これなら、俺の監視いらねえだろ。面倒臭えなぁ。
 今朝、屋敷をうろついていたアッシュは、リベルタとフェリチータから、とある頼み事をされた。それは、パーチェを監視していて欲しいというもの。
 なんでも、パーチェの誕生日祝いの準備が終わる、今日の夕方より早くに彼が帰ってこないように見張る。もし、早まるようなら、逸早く知らせる。もしくは、足止めをするとのことだった。
 心底厭そうな顔をし、頼む!と言うリベルタを見ていると、フェリチータからもお願い、と一言添えられ、二の句を告げなくなってしまったのである。
 どうにも、彼女には弱い己に自嘲を零してから。
「シエスタふいにしてこなした指令だろ。見返りに、何か良い事があるかもしれねえぞ」
 やたらと背を丸めて歩くパーチェへ、慰めの言葉を掛けてみた。
 が、とぼとぼとした足取りは、変わらず。声色も、同じまま。
「そうかなぁ~」
「等価交換だ」
「だと、いいんだけどね」
 帰路の時刻は、予定通り。
 あとは、このまま帰れば問題なし、か。
 今も気落ちしているパーチェに、アッシュは、黙っていろと念押しをした二人を思い出していたのであった。


 屋敷までの帰り道。パーチェの元に、子供達が駆け寄って来た。
「パーチェお兄ちゃん!」
「おにぃーちゃーん!」
「おう。どうした?」
 ピッコリーノで会う子供達は、屈み込んだパーチェを前に、顔を見合わせすと声を揃え。
「誕生日、おめでとう」
 大きな声で言うと、それぞれがプレセントを差し出す。花やお菓子、紙で作られた首飾りなど、子供達お手製のものたちが、パーチェの前にお披露目された。
 わっと押し寄せ、手にするものを一斉に渡されるパーチェ。
「わぁお! ありがとうっ!」
 その中の一人、サラが、パーチェの頬に小さなキスを贈る。
にぱぁっと笑顔になった少女へ、パーチェは頭を撫で、ありがとうと笑顔を向けた。
「パーチェ。誕生日なんだろ? ほら、こいつを持って行きな」
 ガスパロが、投げて寄越したのは、幾つかのリンゴ。
 真っ赤に熟れた美味しそうな果実を見事に受け取れば、今度は、ベアータが歩み寄り。
「これは、私から」
「寄って行きな、パーチェ」
「ドルチェもありますから」
 ロメーオとロマーノが、バールから顔を出し、次々と声を掛ける。
 なかなか前へと進めないパーチェの両手には、山のようなプレゼント。
 その内の一つである、分けて貰ったリンゴを食べながら。
「すげえな」
 アッシュが、呟いた。
 えへへ~と締りの無い笑顔となったパーチェが、種明かしをぽつり。
「一週間前からずっと、みんなに言ってたからねえ。効果抜群!」
 それでも、ここまでになるだろうか、と思いながら、最後の一口を放り込むアッシュ。
 誘われるままに、バールの扉を潜れば、其処に居たのは、棍棒の面々。パーチェの姿を見るや、わぁっと声を上げ、席を立つ。
「親分っ! 帰ってたんですか!!」
「今、帰ったところ」
 言って、両手に抱えていたプレゼントをテーブルへと置くパーチェ。
 丁度良かった!とパトリックは、包みを一つ手渡す。そして、フェデリカから預かったと付け加えた。
「これは、俺らからの誕生日祝いです」
 クラウディオが差し出したのは、紙の束。パーチェは、それと、棍棒のコートカード達とを交互に見る。
「なにこれ?」
「ラ・ザーニア引換券! 一枚で、十皿食べられます」
 ぱっと両手を広げ見せたのは、イゴール。どうやら、彼らで前金を出し合い、引換券なるものを作成したのだろう。手作りであるそれは、即席の為か、一枚一枚筆跡が違う。
 と、ピノが、人差し指をぴっと立て。
「ただし、一日一枚だけしか使えませんからね。大事に使ってくださいよ」
 使用上の注意を説明した。
 一気に使われてしまっては店も大変である為、双方でそう取り決めをしたらしい。
「親分、誕生日おめでとう御座いますっ」
 声を揃え、コートカードが祝いの言葉を贈る。
 すると、パーチェは、歓喜に打ち震え。
「おまえら……。くぅー! ありがとう! おれ、毎日一枚ずつ使う!!」
 高々と宣言し、まずは、と最初の一枚を掲げ、店主にラザニアを注文したのであった。

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 2012_07_29




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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8/2 オフライン更新
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