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想いを言葉に、心を声に



 連続更新企画;お嬢受けSSコンプリート作戦!ww
 その4 パフェリ
 コンプもなにも、何度も書いてるけど。www
 フェリパフェリな少女漫画テイスト。ラヴコメ。




 

「ない」
 ぽつりと呟いたフェリチータに、デビトは、眉間に皺を刻み込んだ。
 確実に、間違いなく己の耳に届いた言葉を心底疑い、素っ頓狂な声を上げる。
「はぁ?」
 まじまじと、まるで珍しいものを見るような眼差しを投げるデビトに、じわりと視線を這わせたフェリチータは、きゅっと唇を引き結ぶ。
 予想どうりの反応に座りが悪くなってしまい、思わず両膝の上に手を置くと座り直す。
「だから、ないの」
 デビトの顔は見ずに。僅かに顔を俯かせ、再度告げる。
 そんな彼女の様子を一瞥し、長々と息を吐き出したデビトは、両肩を落すと天を振り仰いだ。
「マジかよ」


   想いを言葉に、心を声に


 通常なら惰眠を貪っている時間に、デビトは、屋敷の庭をうろついていた。
 別段、目的などはなく。勿論、用事などあるわけもなく。何とはなしに足が向き、ただ、ぶらぶらと歩いていたのである。
彼の行動をよく知る幼馴染の面々が見かけたならば、何かあったのか?と怪訝な表情をしていたかもれないが。まず、それは有り得ない。片方はご忠心であるお嬢様と見回りであるし、片方は部下と飲み食いの最中と見越しての行動でもあったのだから。
 が、そんな最中に、見掛けたのは、此処に居るはずなどないお嬢様――フェリチータの姿だった。
 ただ、見掛けただけであったのなら、疑問を少しだけ抱き、素通りしていただろう。
 しかし、明らかに気落ちしている雰囲気と、落胆の色濃い表情に声を掛けた。否、掛けてしまったのだ。これが、面倒事の始まりであるなど知る由もなく。
「一度も、か?」
 何度目かの、内容の異なる問い掛け。
 隣に座るフェリチータへ目をやれば、ふっと短い息を吐き出しているのが見えた。
「似たようなものは、あるかもしれないけれど。ちゃんと、っていうのは無い。……ような気がする」
 自身での科白に、更なる自覚が上乗せされたのか。先よりも表情を曇らせたフェリチータに、デビトは、向けていた視線を横へと這わせる。
 面倒臭えが、てめえで首突っ込じまった以上は、放っておけねえよなぁ。
 胸中での呟きを己に言い聞かせると、足を組んだ。
 フェリチータの気落ちの原因は、パーチェに対するものであった。
アルカナ・デュエロの後、恋人同士となった二人の関係は順風満帆。のように、傍目には見えている。大した問題も無く、甘い生活を送っているのだろう、とデビトも思っていた。というのも、事ある毎に、パーチェが色々と話していた所為である。聞きもしていないのに、だ。
 しかし、フェリチータにとっては、そうではないらしく。今回、相談を持ちかけられた。
 この段階で、当人同士どうにかしろ、と誤魔化せば良かったのだろうが。フェリチータの憂いを帯びた表情に、腰を下ろしてしまったのが悪かった。つまり、相談の内容に問題があったのである。
 辛辣な面持ちで告げられた科白は、こうだった。
 パーチェが、好きだって言わせてくれないの。
 一気に、興醒めしてしまったのは言うまでもない。いっそ、今から逃げ出したいと思ったくらいだ。が、出来なかった。
 阿呆か、オレは。
 毒付きながらも、一応、思案はしてみる。彼女が、どうするべきかを。
「で、そんなバンビーナは、どうしても言いたい、と」
「どうしたらいいと思う?」
「どうも、こうも。言えばいいだけだろ」
 最も簡単で、それ以外に見当たらない、という回答を告げる。
 真剣な表情が、即座に崩れた。欲しかった言葉ではなかったからである。
「それが難しいんだってば」
 重い息を吐き出すフェリチータに、苦味潰しの顔となるデビト。
 色恋沙汰に手馴れていても、それは、相手が己の定めたシニョーラに限った事。
 他の誰かの類まで知ったことか!と言えればいいのだが。如何せん、フェリチータが相手である以上、無碍には出来ない。矛先が、あらゆる常識を凌駕するパーチェであるというのを差し引いても、だ。
「パーチェが、ね。私のことを好きだって言ってくれるのは、本当に、嬉しいの」
 好きだ、とパーチェは、よく口にする。
 あまりにも簡単に軽々しく言うので、本気かどうか考えもしたけれど。
どれも本当で、どれもが彼の本心。
 自分でも、自分が嫌いになる時でさえ、好きだと言ってくれる。嫌いな自分ごと、好きだと彼は言う。その所為か、嫌いな自分をも好きになれた。
「だから、私も言いたい。好きだって、大好きだって言いたい」
 溢れてくる想いを伝えたい。全部は無理でも、少しだけでも、声にしたい。
「なのに……」
 己が口にするより先に、好きだと言われる。言う間合いを与えてくれない。優しく抱き締められて、口接けられて。何時も翻弄されてばかり。
「きっと、私、パーチェが思ってるよりも、もしかすると、自分で思ってるよりも、パーチェのことが………好き」
 細く、けれど、形となったフェリチータの気持ちに、デビトは、目を見張る。
 なんだ。言えるじゃねえか。まあ、パーチェが居ないからかもしれねえが。
 と、此処で、何かに気付いた。
 気配がする。それも、知ったものの。距離は、そう離れては居ない。声が丁度届くくらいというところだろう。
「今の科白、忘れんなよ」
「え?」
 徐に立ち上がったデビトに、フェリチータは、顔を上げる。
 と、意味ありげな笑みで返された。
「おい! 隠れてねえで、出て来やがれ」
 声が投げられた方角に目をやれば、其処から姿を現わしたのは、他でもないパーチェ。
 驚きが、思考を真っ白にする。次いで、喉を詰まらせた。
 なぜ? いや、いつから彼は其処に居た?
 次々に浮かぶ疑問渦巻くフェリチータの腕を引き、軽々と立たせてしまったデビトは、彼女の背中を無造作に押し、パーチェの立つ方へと追いやる。
「もう一度、言ってやんな。ほら」
 顎で指し示めされた直後、勢いに負けよろけた彼女の身体を事もあろうか、パーチェが受け止めたのだった。
 頬に当たったのがパーチェの身体であり、己が、その腕の中に収まってしまっている事態に、フェリチータは、正常なる思考を取り戻せない。何がどうなって、どうしてこうなってしまったのか。しかも、脳内を駆け巡るのは、羞恥ばかりときている。
顔を真っ赤に染め上げ、口をぱくぱくと動かすフェリチータへ。
「ごめん、その……立ち聞きするつもりは、無かったんだけど」
「じゃ、どういうつもりだったんだ?」
 誤魔化しの笑い声。
 こちらは、笑い事ではない。
「えっと……あの、フェリチータ?」
「パーチェのばかーっ!」
「ぐはっ!」
 処理しきれず弾けた思考は、強烈なる回し蹴りとなって具現化した。
 脱兎の如く走り去ったフェリチータから、蹲るパーチェを半眼で見やるデビト。さも面白げに。
「いいのかー? 追わなくって」
「追うよ! 追うに決まってるでしょ!」
 痛みに疼く足に、大きな身体を時折傾かせながら、パーチェは、彼女を追い駆ける。
 それを見送ったデビトは、軽く首を竦めさせ。
「ったく。あとは、二人でよろしくやれ」
 吐き捨てると、自室へ足を向けたのであった。


 どうしよう。
 庭の茂みに身を潜めたフェリチータは、必死に、自身を落ち着かせようとするのだが。動悸は、激しくなる一方であった。
 パーチェの性格上、間違いなく、追って来る。
 それまでに、この可笑しな音を刻んでいる鼓動を鎮め、あたかも、何事も無かったかのようクールな振る舞いを……。
 無理。むりむり、絶対に無理! どんな顔していいのか、分からないっ!!
 両手で顔を覆い隠した刹那、背後から抱き締めてきた大きな腕。
 それが、パーチェのものであると理解した時には、しっかりと腕の中に閉じ込められた後だった。
「見つけた」
 声に、体温が上昇する。顔の赤みが増す。鼓動の大きさに、耳は飽和状態。
「や、は、離してっ! はなっ」
 無我夢中でもがいていたフェリチータの顔を強引に振り向かせたパーチェは、その唇を塞ぎ、深く長く口接けた。
 騒ぎ立てていた音が消えていく。溶かされてゆく。甘やかな色に染まる。
 熱に浮かされた吐息ごと力の抜けた肢体を更に抱き締め、耳元に囁きを贈るパーチェ。
「無理。出来ない。あんな風に言われて、離せるわけないよ」
 フェリチータは、とん、と軽くパーチェの胸元を叩いた。
「どこから、聞いてたの?」
「んー。言わせてくれない、ってところかな」
 ほとんど、全部じゃないっ……!
「ねえ、フェリチータ。もう一度、言ってくれない? おれに、言って欲しい」
「言わせてくれなかったくせに」
「ん。だから、ちゃんと聞く」
 本当に?
 照れ混じりに身を捩れば、そっと抱き締めていた両腕の力が緩められる。
 満面の笑みを向けてくるパーチェに、フェリチータは、少しだけずるいという気持ちを抱きはするも、ここで言わなければいつ言えるというのだろうか、とも思った。
「じゃあ、ちょっと待ってて」
 言うしかない。言わなければ。
 大きく息を吸って、吐き出して。もう一度繰り返して。
「い、言うね」
「どうぞ」
 想いを言葉に、心を声に
 さあ、勇気を出して。

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 2012_05_01




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

ここは、SSサイトです
アルカナ・ファミリア&三国恋戦記
がっつりネタバレ 
パフェリ、孔花・師弟愛、仲花+孔、
テイルズ、stskなど雑多に書き散らしちう
8/2 オフライン更新
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