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災い転じて



 連続更新企画;お嬢受けSSコンプリート作戦!ww
 その1 りべふぇり
 恋人同士になって日の浅い、初々しい二人に起こった、あるハプニング。



 

 幸か不幸か、と問われれば。
己にとっての、気に入りのものを自らの手で壊さなければならないという事実は、不幸なのかもしれない。
けれど、相対的に鑑みれば、この出来事は、幸福に他ならない。
なぜなら、あの時、己は確かに、心の中で喜んだのだから。一緒に居る時間が増えた、と。


   災い転じて


 まだ、少し夢見心地な部分がある。リベルタは、時折、思っていた。
 そうなったらいいな。なるといいなぁ。
 何度か巡らせた想像は、今や現実となっている光景だ。
 視線を向けた己へ、柔らかな笑みで返すフェリチータの姿に、リベルタは緩んで仕方ない口許を押し留めるので精一杯だった。
 ぼんやりとしていた想いが、はっきりとした形を成した時、どうにも言葉では言い表せない気持ちが押し寄せてきたのを覚えている。
あの時の感情に付ける名前など無くて。何であるかなど表現する術を持たなくて。
それでも、己の中に生まれたものに対しては、答えは出ていた。
フェリチータを誰より愛しく想っている。何より大切で、共に在りたいと感じた。
抱いたものは、少しずつ伝えていけばいい。向き合い、素直になれば。
照れ混じりに吐露してしまった内側に、私も同じ、とはにかんだ彼女の身体を勢い余って抱き締めて、即座に離し、謝ったのは数日前の話だ。
慌てふためく己を抱き締め返した存在が、ふと此方を見やり、双眸を細める。吹く風に持っていかれそうになる赤い長髪を気にも留めずに。
「凄く綺麗だね、リベルタ」
「そうだろ。ここからの眺めは、最高なんだ」
 へへっと笑い、フェリチータ同様、甲板から見える景色を双眸に映す。
 警備も兼ね沖合いまで船を出す事になった為、一緒にと誘った己の勇気を褒め称えるリベルタ。どうせなら、しなやかな腰に手でも廻して、君の方が綺麗だよ、などと気の利いた科白の一つでも言えねえのかお子様だな、と何処かの女好きの声が聞こえてきそうだが。これはこれで、己にとっての及第点と思っていた。
「風が強いからさ。こっちに……」
「え? う、うん」
 前に立っていたフェリチータへ、自身の横に立つよう促せば、戸惑いながらも頷きで返される。
 ちらりと視線を這わせれば、同じ間合いで見上げていた大きな瞳とかち合ってしまい、頬を赤らめ互いに目を反らせた。気恥ずかしさに一度は負けるも、再び互いを見やり、今度は、笑い合う。
 微笑ましい二人のやり取りを遠めで見守る大人たちは、あのような初々しい頃が己にもあったなぁなどと感慨深げだ。
 と、不意に突風が吹き抜けた。予想外の一陣は、甲板を颯爽と駆け抜け、空に消える。
「すっげえ風。大丈夫だったか? フェル」
「うん、だいじょう……いたっ」
「えぇっ!」
 反射的に閉じた双眸を開け問い掛けたリベルタへ、フェリチータが顔を上げようとした瞬間、上がったのは悲鳴。見れば、フェリチータの髪が、リベルタの腕輪に絡まっているではないか。
 驚き、己の腕と彼女の髪を交互に見詰めるリベルタ。
「そ、そのまま、動くな」
 言って、自身の腕輪から、絡まった赤い一房を取り外そうと試みる。
 が、如何せん、片手での動作。なかなか、上手く外れない。
「フェル、もう少しだけ待ってて」
 安心させる為の言葉は、慌てた声色である所為か。効果が無い。
 フェリチータは、じわりと視線を上げ。
「リベルタ、私の髪を切ればいいだけだから」
「そんなのダメに決まってるだろ!」
 即座に飛んだ否定に、双眸を瞬かせるフェリチータ。一番単純で簡単な事をこんなにも思い切り拒否されるなど思いもしなかったのである。
 いつしか必死の形相となったリベルタは。
「こんなに綺麗なフェルの髪、切るなんて! 出来るわけない。だったら」
 切れたのは、リベルタの腕輪だった。
「よし、これなら取れる」
 最初から、こうすれば良かったんだよな。
 呟き、両手でフェリチータの髪を取るリベルタを前に、フェリチータは、呆気に取られていた。
 いつも身に着けている気に入りのものを。己の髪などの為に?
 戸惑いに浮かぶのは、謝罪とも取れる気持ち。
「リベルタ、あの……」
「ほら、取れた! って、どうしたんだ? フェル」
「だって、それは」
 リベルタの大切なものでしょう?
 声にならなかった言葉。
「気にするなって。直せばいいんだし」
「でも!」
「これは、さ。元通りになるけど。フェルの髪は、そうじゃないだろ。それに、髪は女の命って言うし」
 あれ? ここは笑うとこ……なんだけどな。
 軽快な口調の続きが、誤魔化しの笑いになった。
 込み上げた嬉しさに唇を歪めたフェリチータは、一歩前に足を踏み出す。
「リベルタ……」
「ん?」
「それ、私に直させて!」
 真剣な眼差しで告げる彼女を見、リベルタは、切れた腕輪から視線を転じる。
「フェル……に?」
「うん。そうしたいの」
「えーっと、でも、さ」
「リベルタは、やり方を教えてくれればいいから! ね! お願い」
 勢いのままに、フェリチータは、リベルタの手を持つ腕輪ごと握り締めた。
 彼女の両手で包み込まれた自身の手。それを目の当たりにした瞬間、どくりと鼓動が一際大きな音を刻む。
「わ、わわ、分かった。教える! けど、厳しいぞ!」
「望むこところだよ!」
 何処か明後日な方向に転がっていくやり取りの後、二人は、何時の間にか笑い合っていた。

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 2012_04_28




プロフィール

一沙(かずさ。)

Author:一沙(かずさ。)

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